海外で日本語を教えています

日本語教師です。ネイティブスピーカーとしてだけでなく、色んな角度から日本語を見ていきたいと思っています。

権利は与えられるものでなく勝ち取るもの。フランス社会と日本社会の違いとは。

日本にいる親戚の大学生が、ごく最近コンビニでアルバイトを始めたらしいけれど、お客の対応がなかなか大変らしい。例えばコンビニで買える食べ物に毛髪が入っていたら「土下座しろ」「服を脱げ(なぜ?)」とまで言われることもあるらしい。日本は割とサービス業のレベルが高く「お客様第一主義」が徹底しているから、とんでもない人がそこに付け込んで悪用するケースが多いのかもしれない。

私はフランスで(数か月間だけだけど)サービス業に携わったことがあるけれど、そこまでひどいクレームをつけるお客はいなかった。混んでいる時に「遅いよ」くらいは言われたものの。

「日本のそういうところはどうにかしないといけないよね」と私は電話で家族に話したけれど、「日本はそういうところだから、しょうがないよ。我慢しないと働けないんだよ」と返されてしまった。「現状がこうなのだから、それに従わないといけない」という考えは、良くも悪くも日本的だなと感じる。お上や世間の与えるルールを頑なに順守し、自分で権利を勝ち取るという発想がないのだ。

私がフランスに来て驚いたことの一つに、「権利は自分たちで勝ち取るものだ」という人々の強い意識が挙げられる。だから労働者は不当な搾取を感じればストライキなりデモなり起こして社会に訴える。そもそも近代のフランスは、王という一人の権力者を倒して民主主義を「勝ち取った」という歴史もある。

社会的弱者に陥りやすい労働者も声高に自分の権利を主張できる風土があるので、例えば私のようなパートタイマーでも福利厚生がちゃんと付いてくる(権利のために戦ってくれた人に感謝したい)。

また、フランスでは数十年前まで妊娠人工中絶が禁止されていたのだけれど、中絶する権利もまた、人々が声に出して訴えたからこそ手にすることができたのだ。

一月に起きたシャルリー・エブドの一連の件でも、フランスらしさが表れていると思う。私は正直、決して上品とはいえないあの風刺画が好きでないけれど、「言論の自由」のために一致団結して主張する姿勢はフランスの美徳といえるかもしれない。

少子高齢化が叫ばれ、移民を募ろうという局面に立っている日本では、もしかしたら今までの「長いものに巻かれて我慢しよう」という姿勢は通用しなくなっていくかもしれない。日本人以外には(日本人もだと思うけど)、今の労働環境はしんどすぎるからだ。これは、日本の人気度に左右される日本語教育業界にも大きく影響する問題だと思う。

より良い職場環境で働けるようにするためにも、「権利は与えられるものでなく勝ち取るもの」という意識の覚醒が今の日本には必要なのかもしれない。それはかなり日本人の性質とは相入れないものでもあると思うけれど、社会は変革することが可能なのだと意識するだけでも、だいぶ違うのではないでしょうか。